※2013年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。
◆老朽マンションの売却 住民合意8割に緩和を政府検討 (H25.9.25)
政府は古いマンションの解体や売却をしやすくする規制緩和の検討に入った。マンション所有者全員の合意が必要なルールを改め、8割程度の合意で済む方向で調整する。区分所有法やマンション建て替え円滑化法などの関連法改正案か、新たな法律を作り、早ければ来年の通常国会に提出する。1981年の建築基準法改正前の「旧耐震基準」で造られたマンションが対象となる見込み。全国に約600万戸あるマンションのうち100万戸超が対象。
◆不動産適正取引推進機構における相談事例紹介(28)
【相談者】中古住宅の売却依頼を受けた媒介業者【内容】中古住宅の売却相談を受けたが、登記事項証明書(登記簿謄本)の乙区欄の「債権額」金額が売却想定額を上回っている。【考え方】中古住宅の登記簿の乙区欄に表示された「抵当権設定」の額は、売主が購入の際に利用した住宅融資の借入額により設定されているので、返済等により抵当権抹消に要する残債額とは一致しない。抵当権抹消に必要となる 費用は、売主の協力を得て、抵当権者(金融機関)に「残高証明書」の発行を求めて確認する。金融機関が交付した「ローン返済予定表」等は返済予定を示したもので、繰り上げ返済や未返済がある場合は予定表の額とは必ずしも一致しない。残債額が売却代金を上回っている場合(債務超過物件)は、売買代金全額を返済に充当しても抵当権を抹消することが出来ないので、別途の資金手当ての確認が必要。売主が「金融機関が、売買代金をもって残余の債務の支払いを免除すると約束している」とした場合には、売主の説明だけでなく、金融機関へ抵当権抹消の条件を確認し、売主が誤認していないことが確認できるまでは取引をすべきではない。債務超過物件は、売主が手付金を消費したときには、抵当権が抹消出来ないというリスクを含んでいるため、売買代金全額が抵当権抹消の費用とされるように、一括決済(契約と売買代金の支払いを同時に行い、併せて、抵当権末梢手続きと所有権移転登記の申請を行う)を考慮すべきだが、買主がローンを利用する等で一括決済が出来ない場合は、媒介業者が売主の承諾を得て、売主が受領する手付金を預かり、残代金時まで保全する方法も検討。手付金を預かる場合には、単に「預かり証」を発行するだけでなく、売主・買主・媒介業者の三者で「手付金の預かりと交付に関する条件および方法」を明確にした覚書等を作成して取り交わす。
◆最低賃金19円上げへ 企業の負担増へ (H25.9.18)
厚生労働省の中央最低賃金審議会は、最低賃金引き上げの目安を全国平均で14円と3年ぶりに2ケタとすることを決めた。このうち東京都、千葉県、神奈川県が全国でも最高ランクの19円、埼玉県が12円となっている。今後、各都県の審議会が実際の額を決める。目安通りの引き上げが実現すれば、最低賃金が生活保護の受給額を下回る逆転現象が1都3県ですべて解消する。企業側からは社会保障関係経費を含めた負担増への警戒感があるほか、消費拡大などの好循環へつながるかはどうかは、まだ不透明。
◆施行令3条1項の改正、解釈・運用の考え方の改正
大規模災害からの復興に関する法律(以下「復興法」という)の施行に伴い、復興法28条4項及び5項が「重要事項の説明」で説明すべき事項として追加され(業法施行令3条1項36号)、8月20日に施行された。施行令3条は、業法35条で規定される14の説明事項のうち、「都市計画法、建築基準法その他の法令に基づく制限で・・・政令で定めるもの(2号)」の規定で、取引物件が復興法の「届出対象地域」に存する場合はその制限の概要を説明。協会提示の標準重説は「その他の法令に基づく制限」欄を設け、該当がある場合は法令名の冒頭に印を付け、制限の概要を説明する方式なので、重説が施行令の改正を反映していない場合は、法令一覧の末尾に「□51大規模災害からの復興に関する法律」と追加記載。復興法は、①復興に関する組織(復興対策本部)、②復興計画の作成、③復興計画等における特別の措置、④災害復旧事業に係る工事の国等による代行、等の定めで、28条は、前記③の「復興計画等における特別の措置」に関する条項。28条4項は「特定被災市町村が届出対象地域と指定した地域内では、土地の区画形質の変更、建築の新築、改築または増築等の行為を行う場合は、行為に着手する日の30日前までに、行為の種類、場所、施工方法等を特定被災市町村長に届け出なければならない」、28条5項は「28条4項の届出をした者は、特定の事項を変更する場合は、変更に係る工事に着手する日30日前まで同様の届出をしなければならない」と規定。届出対象地域に指定された地域内に存する場合は、届出すべき内容と届出義務について説明。復興法は「大規模災害が発生」した時の対応について予め法的に用意したもので、届出対象区域は大規模災害が発生した後に指定される。なお、復興法の届出に関する説明は「建物の貸借の契約」の「説明すべき事項」ではない。
◆不動産適正取引推進機構における相談事例紹介(27)
【相談者】中古住宅の売却依頼を受けた媒介業者【内容】中古住宅の売却相談を受けたが、建物の増築部分が登記されていない。【考え方】建物を増築した場合は、建物の所有者は増築後1か月以内に「建物の表題部の変更の登記」の申請をしなければならないが(不動産登記法51条)、変更の登記がされていない場合も多い。増築により建蔽率・容積率が超過した建物は違反建築物で、建築物の除却・改築等の措置が命じられる可能性がある(建築基準法9条1項)。是正命令の可能性は、建物の法的瑕疵といえる内容で、買主に告知してその状況を十分に認識させる。媒介業者は、現況と登記内容を比較対照し、未登記部分がある時には重要事項説明書で「未登記部分がある旨」と「違反建築物であるか否か」を説明。未登記部分の面積は、固定資産税等の納税通知書で確認するのが一般的だが、記載がない場合は設計図書等で確認する。また、金融機関は、保権設定のため、表示の変更の登記を求めることが一般的なので、売主に対し「売却物件の融資がスムーズに設定できるようにするため、引渡までの間に売主の負担で変更の登記をすることが必要である」等の説明をして同意を求めておくことも肝要。不動産登記法の「建物」は、①屋根があり周囲に壁等がある(外気分断性)、②土地に定着した建造物である(定着性)、③目的とする用途に利用できる(用途性)が要件とされ、増築された「サンルーム」「壁・シャッターで仕切った車庫室」等が「表示の変更の登記」の対象となる。なお、建築基準法上の「建築物」は、不動産登記法の概念より広く、「吹抜部分に床を設置して部屋を作る」「小屋裏収納部分の天井高(内法高)を1.4m以上に変更する」等の改築も床面積に算入される面積の増加となり注意が必要。
◆不動産適正取引推進機構における相談事例紹介(25) (H25.8.28)
【相談者】宗教法人が所有する土地の売却相談を受けた媒介業者【内容】本堂改装費用を捻出したいので、宗教法人が所有する土地の一部を売却したいので、売却の媒介依頼を受けた。【考え方】宗教団体は、規則を作成し、所轄庁(都道府県知事または文部科学大臣)の認証を受けて法人(宗教法人)となる。基本財産や宝物等の処分に関する事項は宗教法人設立手続の認証事項(宗教法人法12条)で、また、設立の登記における登記事項(同法52条)のため、登記事項証明書の「境内建物、境内地、宝物の処分等に関する定め」欄で確認できる。宗教法人が基本財産を処分する場合は、規則の定めの外の定めの他、少なくとも1か月前に信者とその他の利害関係人に対し、売却の要旨を示してその旨を公告しなければならない(同法23条)。公告手続きを経ずに境内建物(宗教団体の教義を広め儀式行事を行うために必要な本堂・拝殿・信者修行所等の建物及び工作物)や境内地(境内建物の敷地、参道、儀式行事を行うための土地、歴史・古記等によって密接な縁故がある土地等)と境内建物や境内地の災害を防止するための土地を処分(法律行為)した場合は無効となる(同法24条)。売却する土地が境内地以外である場合は公告の手続きを経なくても契約が無効となることはないが、宗教法人内部の紛争に発展することも多い。宗教法人は、3人以上の責任役員を置き、事務の決定は責任役員の定数の過半数で決する(同法19条)が、その内の一人が宗教法人を代表してその事務を総理する代表役員とされている(同法18条)ので、契約手続きは代表役員と行う。取引に際しては、規則の確認・公告の実施状況の確認と併せて責任役員会の議事録を確認することが必要。一般的な規則では、檀家総代や氏子総代の同意や上部教団の承認等が必要とされていることが多く、住職や宮司等の表面的な代表者の単独判断による処分が許されていない。
◆ 不動産適正取引推進機構における相談事例紹介(26)
【相談者】中古住宅の売買契約予定日に当事者が立会出来なくなったとの相談を受けた媒介業者【内容】契約条件等が整い、契約締結の合意に至ったが、当事者の一方が急な出張を命じられ、契約予定日の都合が付かなくなった。【考え方】「重要事項」の説明や「物件状況報告書(告知書)」の相互確認の重要性からすれば、契約締結および手付金の授受は、売主・買主が一堂に会し、取引条件の最終確認後に行うのが原則。当事者の一方が立会えない時は「契約日程変更」や「代理人契約」を検討。「日程変更が望ましくない」場合や「代理人選任が出来ない」場合は、媒介業者が契約書等の関係書類を持って回る所謂「持ち回り契約」を検討せざるを得ないが、この方式は、売主と買主の署名押印に時間的なズレがあるため、一方の署名押印後に他の一方が契約を中止するリスクを包含する。また、媒介業者が手付金を買主から預かって売主に交付する場合には、交付までのリスクを媒介業者が負わざるを得ない。取引関係者のリスクを考えると「持ち回り契約」は出来るだけ避けるべき方法と言える。やむを得ず「持ち回り契約」とする場合は、売主・買主の双方に「契約の成立は、両者が契約書に署名押印し、かつ、手付金が授受された時点である」ことを十分に説明し、併せて、手続上のタイムラグを出来る限り短縮することが大切。署名押印を売主と買主のどちらから行うべきかについては両論あるが、先に買主の署名押印と手付金の交付(預かり)を行い、売主の署名押印と手付金交付を後とする方法が一般的。買希望者が多数存在する局面等では、売主の第三者への売却を目論んだ売却拒絶を防止するために売主を先とする検討も必要。売主・宅建業者の場合は、重説への記名押印および37条書面の交付を考慮し、売主・宅建業者を先とすべきであろう。