TRA不動産ニュースコラム 2009年6月

※2009年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。


◆久恒立大教授の不動産鑑定評価への提言 (21.6.30)日経経済教室で同教授はリートの再生への助言をしている。1.リートの運用会社は親会社等の利益を重視したケースも多く実際より高い価格での取引が見られる。(キャップレートが3%台と言う低水準もある)2.低いキャップレート(高価格)を追認したのは不動産鑑定書である。例えば純収益は04年下期から3年間で伸び率は3%以下なのに鑑定評価額は35%も上昇した。逆に最近は賃料が安定的なのに大幅に評価額を下げている。又鑑定評価会社間で割引率が大きく異なることもある。3.解決策・・①鑑定評価書を全面開示すべきである。競売では開示しており透明性が大きく向上している。②リ―ト市場を拡大させないと売買の影響が大きくなってしまう。③外国人の投資家に偏重していたのを分散させる必要がある。外国人投資家は集中投資と急激な売り越しでリートを高リスク化させてしまった。 ◆信金・信組の合併、再編が大きく進むのか金融庁はこの両者の垣根を取り払う方向で検討中。取引先の条件は従業員300人以下又は資本金9億(信金)、3億(信組)以下の現行規制を見直す方針。信金の規制を引き上げることで信組との再編も行いたい意向。信組の不良債権比率は10.3% (08年3月)を超えているので救済の意味もある。低成長下で効率経営を求められており地銀も含めた再編は必要であろう。 ◆今なぜ建物の長寿化が必要なのか1.建築物は社会資産と考え、資産を守り、維持向上は社会的な責務である。2.持続可能な社会の必要性が増し、資源や資産の有効活用は社会的要請である。3.建築物の寿命は、本来100年は持つはずである。4.建物長寿化と街並みや景観形成とは矛盾しないどころか不可欠である。愛着,なじみ、郷愁にも長寿命化は不可欠である。5.社会的認識が変化している。建築物の性能要求は、従来は安全、健康、快適、効率だけであったが、近年は「長寿命」と「維持管理の容易性」が加わった。 ◆耐震偽装による損害賠償訴訟→ホテル休業の原告敗訴・県への請求棄却姉歯耐震偽装事件で一時休業に追い込まれたホテルの運営会社等が、建築確認審査をした県を相手取り、約2億3,000万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が4月15日前橋地裁であった。判決は、行政による建築確認審査のあり方の前に、「建築基準法は、建築物の利用者や周辺住民の生命、健康、財産を保護するため最低の基準を守ることを目的とするものであり、建築物の所有者の財産上の利益の保護や、建築工事を請け負った工事業者の利益の保護を目的とするものではない」として、「国家賠償法の保護は受けない」と原告の請求を棄却した。ホテルを運営する建設会社がホテルの建設も手掛けており「構造計算書の作成の不正と無関係な立場とはいえない」と原告の責任に言及した。2月に愛知県の過失を認めた名古屋地裁判決とは、判断が大きく分かれる結果となった。同種の訴訟の行方が注目される。 ◆世界金融危機の真の原因はこれだ (21.6.16)日経経済教室での高安経済物理学者の意見。マンデルブロ・エール大学教授の著書「禁断の市場」の内容を紹介し、その警告を追認しながら述べている。問題は金融派生商品の値付けに関して間違ったと。金融派生商品の価格決定理論は現実にはありえない理想の仮定の下でのみ成立するものであった。これは10年前のヘッジファンドの破たんで広く認知されたはずだった。CDS等の保険商品は現実のデータと整合せずに作られ販売された。本来保険とは過去のデータに基づいて発生確率と予想される損失を評価したうえで値付けされるものである。そして守るべきものの価値を補てんする分だけの適量を売買された場合のみ保険として機能すると。保険の機能を喪失した商品はもはや保険もどきであり投機商品であった。実物経済の規模を超える量にまで膨らんだ商品の破たんは起こるべきして起きた。最も真の責任は保険の機能を喪失した商品を市中に流通させるのを止められなかった無責任な放任主義にあったと。金融商品の販売をメーカーの商品販売と比較してみよう。家電や自動車に代表されるメーカーの商品は少しでも危険がある商品を販売したらメーカーは全面的な責任があり自己負担で回収や補修を行う。またこれをサポートする法整備や体制もある。だから消費者は安心して商品が買える。メーカーも過去のデータを蓄積し分析して厳しく検証して商品作りを行う。この様な姿勢が今回の金融商品の作り手側にすっぽりと欠けている。根拠の乏しい金融工学的公式を使ったりした。金融商品は売り手側の責任追及は少なく買い手側の自己責任が大きく言われているが、複雑な仕組みを買い手側に理解させるのは間違いである。他の実物商品の場合、農薬入り野菜や手抜き建築物について買い手側に自分で見抜けという、買い手責任だとは言わせない。今回の危機の最大の原因は売り手責任の甘さと放置した行政等の放任ということか。 ◆フォワード・コミットメントの公表を金融庁が要請フォワード・コミットメントとはまだ引き渡しを受けていない物件取得契約のこと。契約締結から相当期間経過後に決済が行われる契約。停止条件付き契約等も含む。Jリートでこの契約が決済できず高額の違約金の支払いが生じ破綻の原因にもなった。投資家保護の観点から金融庁は不動産関連ファンド運用業者の業務評価項目に加えた。該当があればその内容、なければ「フォワード・コミットメントはありません」 の開示となる。◆公的不動産にビジネスチャンスあり 日本の不動産2300兆円のうち公的セクター所有不動産は450兆円もある。企業 所有不動産は490兆円(企業の総資産は1300兆円)。いよいよこの部分が動き出す。厳しい財政事情、公会計制度改革は待ったなし。日本郵政の簡保の宿に代表される資産処分はどんどん進む。時価会計で所有していても減損は必要。減損しておけばその後の売却は損が出ない計算。民間企業のCRE 戦略が公的セクターにも求められている。しかし処分の方法に問題がある。公的セクターが故、売却等は入札が多いが入札資格や情報の開示を行うことにより正しい流通手数料や開示方法等を改善する余地が有るのではないか。広くあまねく周知より高い購入者を募る方法を確立すべきである。 ◆中古住宅流通が新築を抜く日は近いFRK調べ。欧米と日本の住宅の大きな違いは日本は新築流通が圧倒的と言われていた。しかしもはや08年は約47万戸流通した。08年時点での貸家と給与住宅を除く新築住宅は60万戸台だが2015年の予測ではほぼ両者は50万台で拮抗する。その後中古住宅は新築を上回って欧米型に近づく。各社のデベロッパーも中古市場をにらんだ戦略が必要となる。

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