TRA不動産ニュースコラム 2009年7月

※2009年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。


◆土地神話時代、収益性は無視された (21.7.30)ただ持っているだけで不動産が上がる時代は、運用が下手でも利益は取れた。つまり運用力は重視されなかった。その頃の最高のアドバイスはもう少し持ち続けましょうであった。しかし今や持っているだけでは負動産である。そこでCREの発想も生まれてきた。今後は収益力を高めることがその不動産価値を高める最大の手法である事を認識しなければならない。 ◆リート等のリファイナンスが迫っているしかしそのリファイナンスが難航しているケースが多い。銀行の立場で貸せないということは担保が毀損したと考えているのだろうか。ノンリコースなら尚更だ。しかし3年前に不動産鑑定士が評価した価格は今それ程落ちているのだろうか。リートは収益価格が中心であり元となる賃料は3年間で毀損したとは思えない。融資時の評価が高すぎたのではないのか。リートの大半は土地代と建物代の積み上げである積算価格が収益価格を下回っている。しかし不動産の長い過去は積算価格が収益価格を上回る時期の方が長かった。保守的に評価するとき収益価格を採用した。それが今やリートでは大半が収益価格の方が上回っている。そしてリートの価格は低迷している。銀行はリファイナンスに逃げ腰だ。きっとマーケットは正直なのだろう。不動産鑑定に対する信頼性の回復が必要だ。「還元利回り=割引率+純収益変動率」のどこかの判定がおかしかった。ファンドバブル状況下の賃料上昇が限りなく続くと予想したのか、低金利が長期で続くと予想したのか、別の要因があるのか、鑑定評価の現場では反省材料が多いだろう。 ◆リフォーム市場は伸び悩んでいる◆06年度と07年度の売り上げは5兆円を切った。この数字は96年度の5.7兆円からあまり増加していない。最大の原因は中古住宅流通の低迷。仲介会社だけでなく建設業者も日本の流通コストの大きさの被害者。流通コストをゼロにしてこそ市場は活発となる。 ◆賃貸住宅のトラブル、調停・仲裁へ公的機関◆ 政府は、賃貸住宅を巡るトラブルを専門的に処理する公的機関を設置する検討に入った。数千円ほどの利用料であっせんや調停を受けられるようにし、借家人の保護に繋げたい考えのようだ。6月8日に開催された社会資本整備審議会で、国土交通省が紛争処理機関の創設を検討する方針を示した。平成22年の通常国会に関連法案を提出し、平成24年度に紛争処理を始める見通しとなっている。 ◆50年住宅ローンが登場 (21.7.15)50年間固定金利。長期優良住宅が対象。民間が融資し証券化して住宅金融支援機構が買い取る。掛け目は60%、フラット35との併用も可なので掛け目は上がる。金利は35年より0.6%~1%高い。ローン債務は第3者に引き継げる。(ただし1回) ◆農地法改正5月、衆議院を通過。年内にも施行予定。農地の賃借を原則自由化する(従来、借りることができたのは市町村が指定する農地に限られた)。企業が農地を借りる場合は、役員の1人は常時農業に従事すること等の制限もあるが。企業が行う農産物の自社生産はまだ5%以下であり、今後増加する可能性は高い。 ◆住宅販売にもっと歴史と地域の魅力を売ろう住宅そのものの性能や使い勝手の説明は多いが環境やインフラ、地域の魅力、歴史を売り込む営業マンは少ない。住宅自身は入居者がいくらでも変えられるが、環境は変えられない。好きになるということのその源泉は『詳しくなる』ことである。地域を詳しく説明すれば愛着を覚え好きになれる。営業マンはもっと地域の勉強を、供給者はもっと地域情報の提供を行おう。 ◆シンガポールの魅力世界金融不況の中でもシンガポールは日本に対して投資意欲は旺盛である。同国の魅力について探ってみた。同国は日本との時差は1時間しかなく親しみやすい。地理的には赤道直下である。気温は年間最低23度~最高31度と安定している。63の島からなる東京23区位の広さ。合理的な国で交通でも都心への乗り入れ規制やバス路線優先等規制を設けている。最高の山でも163mと低い。人口密度は世界2位。 (1位はモナコ)弱点は水の確保。隣国のマレーシアとはもともと同じ国であったが関係は良くない。イギリスの植民地であった。1人あたり所得が日本より高く、多くの家庭ではメイドを雇っている。土地が狭いため高層建築が多い。高さは280mまで許されている。車は左側通行なので違和感はない。タクシーは安く安全性には定評がある。言語は英語、マレー語、中国語、タミル語が公用語。英語は現地語と混じった“シングリッシュ”と呼ばれてなまりがある。シンガポールの意味はサンスクリット語で「ライオンの町」である。 ◆日本は相当貧乏国か貧困のデータには絶対的貧困率と相対的貧困率がある。絶対的貧困率は国民の中で最低水準以下の人の割合を言うが最低水準の定義が難しい。相対的貧困率は国民の経済格差を表す指標。今日本は格差社会といわれ始めている。この数値は国民の年収の中央値の50%以下の国民の割合。つまり相対的貧困率が高いということは平均的な国民の半分以下の収入しかない層が多いということで貧乏が多いといえる。OECD調査では2000年の日本の相対的貧困率は15.3%で先進国で5番目に高かった。この数値が05年になると2番目に高くなったとのこと。調査方法は完璧でなく制度も異なるので完全とは言えないが格差は広がっていることは確かである。北欧の国は総じて10%以下で相対的貧困率が低い。日本の一億総中流意識は確実に崩壊しつつあるのではないか。 ◆追い出し屋に賠償命令→鍵交換は不法行為(大阪簡裁)家賃滞納を理由に無断で部屋の鍵を交換して閉め出す「追い出し屋」の被害に遭ったとして、大阪市の派遣社員の男性が家主の不動産会社に140万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が5月22日、大阪簡裁においてなされた。判決では、鍵の交換を不法行為と認定し、約65万円の支払を命令している。敷金・礼金なしの「ゼロゼロ物件」等の賃貸住宅の家主や家賃保証会社が、鍵を交換したり荷物を撤去したりして借主に退去を迫る例が多発しているが、鍵交換に賠償責任を認めた司法判断は初めてである。

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