TRA不動産ニュースコラム 2010年6月

※2010年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。

◆ニュービジネス、中古賃貸マンション一棟買い (22.6.30)
オフィスビルではよく見かけるが、中古マンションではこの商売はあまり例がない。古くなったマンションも玄関や共用部分をお化粧することで、随分見栄えが良くなる。又一部賃借人がいても問題ない。最終的には個別で売るので賃貸中のは収益物件で売却できる。新築に比べ格安にできるし、ニーズはあるのではないか。不動産流動化事業のトーセイが、このビジネスに乗り出す。専有部分は、購入者の意思に任せる。ストック時代にマッチしたビジネスである。 ◆不動産鑑定士と法的責任(専門資料より抜粋引用)裁判例では比較的不動産鑑定士側に有利な判決が多い。その理由は不動産鑑定士側の裁量を広く認めている。専門家は高度の注意義務を負っているが同じ専門職でも 弁護士、公認会計士、税理士等の各専門職ごとに注意義務の内容、水準は異なるべきであ る。専門家の第3者に対する責任は、不法行為責任あるいは法令に基づく責任として 追及される。説明・助言義務はある。従って依頼者の依頼通りに行為をすればよいと いうわけではない。鑑定士の違法性ある注意義務違反は、合理的な裁量の範囲を逸脱 させたことによるものと評価されなければならない。不動産鑑定は通常依頼者の為に行っているので、依頼者との関係で言えばそんなに厳しい義務を課す必要はないとの 考えから裁量を広く認めている。不動産鑑定士には、大きなストライクゾーンを持たせている。基準そのものでも大きなストライクゾーンを持たせているが、さらに鑑 定士にも裁量を持たせている。鑑定士に損害賠償を命じた裁判例は見当たらない。初 めて公表されたのは、平成16年9月の大阪地裁判決と思われる。同地裁のケースはゴルフ場の鑑定で、収益還元法を全く無視して原価法だけで行ったケースであった。鑑定評価の依頼を断るべき義務があるとした判例がある。担保適格性が否定されるべき不動産にあたる場合は、鑑定依頼自体を謝絶すべき義務ありとした。医者や司法書士は断ってはいけないルールに比べ鑑定は異なる。東京高裁平成18年の抵当証券のケース。 ◆判例紹介【別荘地の隣接建物が眺望利益の侵害に当たるとした事例】別荘地における隣接建物の建築について、眺望利益を人格的利益として認めた上で、その違法な侵害に当たるとして、建築差止仮処分命令の申立てが容認された事例。判決は、「真鶴町は風光明媚な地域の中にあって、相模湾等を見渡す眺望は極めて高い価値を有しており、建物が完成すればほぼ完全に遮断され、家族が35年以上の期間別荘地として訪れ、その眺望に強い愛着を感じていたであろうと推認される」と判示。従来の判例で示された要件である。①眺望利益について、主観的要件として 眺望利益享受者の眺望に対する愛着、客観的要件として眺望価 値のある景観の存在等、②侵害行為の違法性について受忍限度論」に準拠して判断したものとして参考になろう。(横浜地裁:平成21年4月)。 ◆判例紹介【アスベスト処理を借主の負担で行う合意があったとした事例】店舗の賃貸借契約締結に当たり、貸主は、アスベストの存在や調査等により知り得た情報があれば、それを事前に借主に情報提供すべき信義則上の義務を有し、かかる義務は賃貸借契約締結時点でも同様であったと認めるのが相当である。しかし、一方で、貸主としては、アスベストの存在及び認識していた事実を借主に伝えれば、借主において、アスベストに関する工事の選択肢等を事前に調査し、契約をすべきか否かを判断する機会は十分与えられているとした事例。アスベストについては、契約締結前に貸主は信義則上の情報提供義務は尽くし、事前の交渉経過等からアスベスト処理を借主の負担で行う合意があったとして、貸主の説明義務違反による債務不履行、使用収益させる義務あるいは修繕義務を怠った債務不履行による責任を否定したもの。なお、工場又は事務所の貸主は、建物の共用部分についてアスベスト対策を講じる等、労働安全衛生法第34条に基づく責任があることに留意する必要がある(東京地裁:平成21年4月)。

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