TRA不動産ニュースコラム 2011年3月

※2011年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。


◆今回の地震は不動産観も変えるだろう◆
(23.3.18)人間は危機に陥ると保守的になる。これは本能だろう。東日本大震災は、色々な業種に波及する。不動産業界では、まず高層マンションについて一時の人気が冷めるのではないか。高層階で5分以上揺られたらそれは恐怖だろう。浦安のようにエレベーターのストップ、水道や下水の長期使用不可等は相当不便な思いの記憶が残される。津波を考えるとウォーターフロントの人気のマンションも躊躇する。戸建てだと少々のインフラ不備もカバーできる可能性は高い。今後M9クラスの地震に対して、積極的に対応した不動産として宣伝できる物件だけが支持される。不動産価格は本来環境でほとんど左右される。標高をうたったチラシやパンフは皆無に近い。江東区や江戸川区でゼロm地帯も多い。10mの津波は堤防をも破壊し乗り越える。活断層もきちんと調査して説明すべきだ。埋立地の液状化対策はどう進むのか。今回の地震を乗り越え、いち早く対策と対応が出来た不動産は真に生き残れる。 ◆東北3県のマンションは11万戸強今回の地震で大被害にあった3県の総世帯数は215万世帯。マンションは11万戸。マンション化率は5%。東京都の24%の5分の1。津波に流された木道家屋が多かった。マンションなら少なくともつかることはあっても、上の階に避難すれば助かる可能性も高かったはず。阪神大震災でもマンションの倒壊は少なく、又新耐震ではほとんど被害は少なかった。震災後は戸建てよりマンションに対する需要が高まった経緯もあった。マンションは防災の点では優れている。今後復興にはこの点も考えた対策が必要であろう。 ◆大家として注意すべき消費者契約法個人の大家が税法上の事業者とみなされる基準として「5棟10室」がある。つまり、戸建てなら5棟以上、アパート・マンションなら10室以上賃貸すると、個人事業者として、その所得は事業所得に分類される。要するに、5棟又は10室以上貸している大家は商売をしているとみなされるのである。一方、税法上の個人事業者とされても消費者契約法の事業者となるわけではないが、個々の事案において、消費者契約法を適用すべきかどうかについて、どの程度の規模で賃貸している場合に該当するのか示した判例はない。こうしたことから、「5棟10室」基準を超えている場合には、消費者契約法上の事業者と判断されやすいので、大家は消費者契約法10条について注意しておくことが肝要だ。 ◆マンション居住の賃借人の権利とは、義務とは通常の借家契約以外に何か法的な地位が生ずるや否や・・・1. 賃借人は使用方法について集会の決議に従う義務を負う。2. 所有者は集会の決議に賃借人を従わせる義務を負う。3. 上記義務を明確化する為、賃借人は従う旨の誓約書を組合に提出する義務を負う。4. 所有者は賃借人に対して共同の利益に反していると認めた場合、行為の差し止め請求できる。又賃貸借契約の解除、及び引渡権も有する。5. 賃借人の意見陳述権・・・自己に利害関係がある事項については、総会で意見を述べられる。6. 賃借人の閲覧請求権・・・利害関係人として、規約や議事録を閲覧できる。*要は良好な共同生活を維持するため他の区分所有者に迷惑をかけている場合は、最悪賃貸借契約を解除できるし、損害賠償は貸主にも及ぶことがある。 ◆宅建業界のステータスの向上に向けて宅建業者は買主・売主の両者から媒介の委託を受け、契約が成立すれば両者から報酬を受け取ることを業としている。その際、公平性・中立性を保持し適正な取引ができるのか、早期の成約により自らの利益のために一方に偏した形で仲介を行わざるを得ないのではないかという意見もある。しかし、消費者は不動産取引の専門的知識を有しておらず、専門家としての宅建業者に頼らざるを得ない。したがって、宅建業者は、公平・中立の立場で、両者の対立する利害を調整し、契約成立に向けて誘導する責任を負っている。宅建業者としては、常日頃から職業倫理を高め、コンプライアンスを遵守し、社会から信頼されるよう努めることが求められる。業界のステータスを高めていくためには、こうした不断の努力を積み重ねていく以外に方法はない。

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