TRA不動産ニュースコラム 2012年5月

※2012年当時の記事です。現在の法令・税率・金利とは異なる場合があります。

◆住宅ローン 低金利競争激化で一部に撤退の動き (H24.5.30)
日銀は、銀行による住宅ローンのリスク管理の甘さが貸し出し競争につながっている可能性があると見て、2012年度から考査を厳格にすると発表した。2011年12月末の残高が過去最高の105兆円を超え、融資全体の4分の1を占めるまでに拡大しているが、一部の不良債権化を心配する向きもある。インターネット専業の住信SBIネット銀行が、ネット経由での住宅ローンの受付を中止すると発表した。貸出債権の9割を住宅ローンが占める構造ではリスクが高いと判断した模様。地方の信用組合でも一部で住宅ローンの新規営業を停止し、実質的に撤退するところが出ている。日銀調べでは、店頭金利からコストと優遇幅を引いた利ざやは、大手行で0.1%程度まで低下している。◆ 神田駅西口周辺 ワンルームマンション建築制限 1階部分に店舗等の設置を義務化千代田区は、JR神田駅西口でワンルームマンションの建築を制限した。一定戸数以上のマンションを建築する場合、ワンルーム型の合計面積を3分の1以下に抑える。対象は千代田区内神田1丁目と2丁目の計12.2haで、都市計画法にもとづく地区計画を定めることにより規制をかける。地区内では、あわせて商店街の賑わいを保つための規定として、目抜き通りの神田駅西口商店街で建物を建替える際は、1階に物販店や飲食店、銀行、医療施設などを設けることを義務化する一方、性風俗店などの建築は治安の悪化につながりやすいため、地区全体で禁じた。 ◆不動産適正取引推進機構における相談事例紹介⑦【相談者】築40年以上の2階建てアパートの貸主【内容】入居者から耐震補強してほしいと要望があったが、耐震補強には費用が掛かるので解約したい。解約できるか。【借地借家法】貸主から賃貸借契約を解約するには「正当な事由」が必要とされる。正当な事由とは建物の老朽化も考慮されるが、現実は余程の老朽化状況がないと認められない。耐震補強の問題だけで正当な事由とするのは困難である。【判例】①貸主が建物の朽廃、倒壊の危険性が高く正当な事由があるとして解約を求め、一方、借主が補修工事の実施を求めた事案では、正当事由を否定して、貸主に補修工事の実施を命じた(東京地裁・平成22年3月)。②貸主が築40年経過した共同住宅の建替え等を理由に解約を申し入れたケースで立退き料の額が争われた事案では、引越料その他の移転実費と移転後の賃料と現賃料との差額の一定期間分の額を、移転資金の一部を補てんする立退き料として認定した(東京高裁・平成12年3月)。③テナントビルのオーナーが、耐震性能を備えていないことと、その耐震工事が建物設備等の劣化により困難であることを理由に解約を申し入れたケースにおいて、正当な理由を補完するものとして立退き料の支払を条件に解約を認めた(東京地裁・平成23年1月)。【考え方】以上の判例等から、貸主から解約を申し入れる場合の正当な事由はかなり厳しく判断されることが分かる。仮に認められる場合においても、一定の立退き料の支払が正当な事由を補完するものとして条件を付されることに留意する必要がある。 ◆木造ビル耐火新技術 4階建て建築可能 (H24.5.15)竹中工務店は、耐火性能を備えた「木造ビル」を可能にする技術を開発した。柱や梁(はり)に使う木質の建材で耐火性能のある商品を開発し、国土交通省の認定を取得。4階建てまでの木造耐火建築が可能になる。木造建築は木の風合いを生かせるうえ、鉄骨や鉄筋を使う建築に比べて建物の重量を軽くできるため、基礎工事のコストを抑えられるメリットがあるが、耐火性能が劣るのが弱みだった。開発した耐火集成材は3層構造を採用し、燃えても自然と火が消えて建物を支え続ける。材料強度が高く、柱の間隔は9m確保できるため、鉄筋コンクリート造と同等の建築空間も可能。 ◆大型商業・観光施設開業相次ぐ 5月22日には東京スカイツリー開業 東京都心で大型商業・観光施設の開業が相次いでいる。4月18日に「東急プラザ表参道原宿」、同19日にお台場地区で「ダイバーシティ東京プラザ」、同26日には「渋谷ヒカリエ」がそれぞれ開業、5月22日には東京スカイツリーが開業する。各新施設は年間数百~数千万人の入場客と、合計で銀座地区の百貨店の総売上高に相当する販売額を見込んでおり、各施設間の集客競争が激化しそう。このうち東京スカイツリーは、入居店舗数約320店、年間入場者数は約3200万人を見込む。すでに今年の公示地価(1月1日現在)では、近隣の墨田区押上で上昇地点が現れるなど、新たな観光名所と賑わいの創出に大きな期待が膨らんでいる。 ◆千葉県「液状化しやすさマップ」を公表 都も年度末に新予測図を作成方針 千葉県は、東日本大震災を受けて震度別に液状化の被害程度を示した予測図「液状化しやすさ マップ」などを公表した。千葉県を震度6強の揺れが襲った場合、東京湾沿岸の埋立地や九十九里海岸など外房地域、利根川沿いなどを中心に液状化すると推測した。東日本大震災では注目されなかった成田市や印西市など、利根川沿岸部の一部なども含まれることが新たに分かった。また東京都では、今年度末にも関東大震災と同じ震度6の揺れがおきた場合を想定し、都内全域について液状化のしやすさを3段階に分けて表示する予測マップを作成する方針。 過去にも予測マップを作っているが、今回は前回を上回る2万カ所の掘削調査データと過去の地形図、液状化が実際に起きた場所などを組み合わせて、より正確なマップを作成する。 ◆マンションで駐車場事業拡大 空き物件は外部貸しのみ課税 マンション内の空き駐車場を外部へ貸し出す動きが加速している。国税庁は2月、住民が優先して駐車場を使えるなら外部貸し部分にのみ課税する見解を公表した。これまでマンションの空き駐車場は、管理組合がマンション所有者に貸す場合には非課税だが、一部でも外部に貸すと収益事業とみなされて駐車場全体に課税されることもあった。国税庁の見解により課税対象が明確になり、駐車場運営会社はマンションの空き駐車場を新規の収益物件として注目している。空き駐車場に悩むマンションの管理組合としても賃料収入を得られる。。 ◆平成24年地価公示の概要<国土交通省情報>平成23年の地価は、リーマンショック後における4年連続の下落となったが、下落率は縮小傾向を示した。都道府県地価調査との共通の調査地点でみると、大震災のあった上半期に下落率が拡大し、下半期に下落率が縮小した。大震災の影響により不動産市場は一時的に 停滞したが、被災地を除き、比較的早期に回復傾向を示している。一方、円高、欧州債務危機等の先行き不透明感による地価への影響もみられる。住宅地については、低金利や住宅ローン減税等の施策による住宅需要の下支えもあって下落率は縮小した。人口が増加した地域で下落率の縮小傾向がみられ、また、住環境が良好あるいは交通利便性の高い地点で地価の回復が目立つ。商業地では下落率が縮小したが、オフィス系は高い空室率で賃料は下落、店舗系は商況の不振から需要は弱いものとなっている。主要都市の中心部においては、賃料調整(値下げ)が進んだこともあって、BCP(事業継続計画)やコスト削減等の目的で耐震性に優れる新築・大規模オフィスへ業務機能を集約させる動きがみられ、これらの地点の下半期の地価は下げ止まっている。また、三大都市圏と一部の地方圏においては、J-REITによる積極的な不動産取得がみられた。その他、堅調な住宅需要を背景に商業地をマンション用地として利用する動きが全国的にみられた。

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